司書の本棚

司書が本当にお勧めする本

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『成瀬は天下を取りにいく』独自のマインドと地域愛で,天下取り

意志を持った凛々しい顔に,なぜかライオンズのユニホーム。鼻の下をこすっているポーズからすると,恋愛系ではなさそう。そしてタイトル通りなら笑える?・・・。 主人公「成瀬あかり」はそんな想像を全く裏切らず,すべての想像の上を行く。登場時はおそら…

『東京タワー オカンとボクと,時々,オトン』人は,いつ大人になるのか?

歴代の本屋大賞作品を展示していて,「学生時代に泣きながら読んだな・・・」とめくり始めたが最後,借りて帰って一気読みすることになった。 当時はオカンがとにかくかわいそうで,病気が重くなっていくところがせつなくて泣けてきたのだけれど,自分がオカ…

『星を編む』物語のその後を知る楽しみ

2023年の本屋大賞受賞作『汝,星のごとく』の続編であり,2024年本屋大賞ノミネート作でもある小説。 表紙から『汝,星のごとく』の続編だと分かる美しい刺繍のデザインされた装丁。 発売されてすぐに借りて読んでいたのに,本屋さんで偶然サイン本に出会い…

『リカバリー・カバヒコ』ありふれているから,共感できる物語

今年も本屋大賞の季節がやってきて,読みかけてやめていた本を手にとった。 作者は2021年『お探し物は図書室まで』2022年『赤と青とエスキース』で本屋大賞2位,昨年は『月の立つ林で』で5位と,もはやノミネート常連の方。今回も心打つ連作短編だった。 こ…