司書の本棚

司書が本当にお勧めする本

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『ダンスダンスダンス』 人生はダンスのように

村上春樹の作品は私の高校時代のすべてです。高校時代に味わうべき感情のほどんどを村上春樹の小説で味わったと行ってもいいほどに。当時『ノルウェーの森』は大ベストセラーだったけど,私はどちらかというと初期の三部作の中の、主人公の不完全な偏りのあ…

食べ物と記憶 『おじいちゃんとパン』

それを食べるといっぺんに記憶がよみがえるようなものって,あるのではないでしょうか。私の場合は,お好み焼きとか(高校時代),チーズ蒸しパン(高校時代),山菜肉うどん(大学の学食),アンパンマンポテト(子育て期)などなど。 『おじいちゃんとパン…

『つめたいよる』に,天国のあの人に会えたら

ある日,本棚からふと手に取って1話目を一気読み。 いっぺんに本の中に入っていく感覚が味わえる作品。作者の名前の通り,この人にしか出せない香りがあって,懐かしい日向のにおいや,けだるい午後の雨のにおいのような,だれでも知っているなつかしいもの…

『とうさん おはなしして』アーノルド・ローベルは大人にも必要

ちいさいころに何度も何度も読んだ本。 とうさんネズミが7人のこどもたちにそれぞれお話をしてあげて,寝かしつけるという設定。7つのお話がすべておもしろい奇跡のような一冊です。作者のアーノルド・ローベルがもし生きていたなら,明日にでも会いたい。ロ…