著者はこの本の前書きに
どう考えても『窓ぎわのトットちゃん』よりおもしろいことは書けない,と思っていた。
と,記している。けれど,この本で描かれたトットちゃんのその後の人生も,なかなかユニークだった。笑いと涙,そして失敗(とまでいかなくても,おっちょこちょいなエピソード)に彩られ,ぐいぐいと力強く前に進む彼女の姿に勇気づけられた。
以前にも書いた通り,私を本の虫にするきっかけになった本が『窓ぎわのトットちゃん』だった。その頃の私は失敗すれば「叱られる」か「笑われる」のどちらかだと思っていた。(それしか経験していなかったから。)けれど,失敗しても全然めげないトットちゃんと,決して「叱らない」し「ひやかさない」小林先生が私の心の窓を開いてくれた。
続編の中でも,トットちゃんはトットちゃんのままだ。だから安心して失敗を見ていられる。それは前に進んで行くためだし,人生を豊かにしてくれる失敗だから。そしてそんな彼女だからこそ,優しく見守ってくれる本当の見方に出会うチャンスが巡ってくるのだ。
本を閉じ,願わくは今のトットちゃんを読んでみたいと思った。天真爛漫な彼女にまた会えますように。
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