ある日,本棚からふと手に取って1話目を一気読み。
いっぺんに本の中に入っていく感覚が味わえる作品。作者の名前の通り,この人にしか出せない香りがあって,懐かしい日向のにおいや,けだるい午後の雨のにおいのような,だれでも知っているなつかしいものがふわっと香ってたまらない気持ちになる。
特にこの作品は,冬の日にデートする幸せを思い出させてくれる。寒い日は、どうしたってくっ付いていたくなるから。
この短編は、新しく出版された『江國香織童話集』にも入っている。
もう会えない,でももう一度だけでも会いたい人がいるなら,読んでほしいお話だ。