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『栞と嘘の季節』図書室をめぐるミステリー再び

『本と鍵の季節』を読んでから数年。高校で図書委員に所属する堀川次郎と松倉詩門(しもん)のコンビには,ぜひまた会いたいと思っていたので,迷うことなく手にとりました。

この二人は本当に絶妙のコンビ。二人の頭の回転が速すぎて良くできたテンポの速いコントをみているように,どんどん読み進んでしまう。

今回は前作とのつながりを感じさせつつも,連作短編ではなく長編ミステリーで,答えは最後まで出ないので,あれこれ推理しながらページをめくる。

図書室に返却された本の間からトリカブトの花の栞が見つかり,二人は持ち主を探すのだけど,二人を含めて登場人物がそれぞれについた嘘が事件を複雑にしていく。

とにかく,このシリーズの最大の魅力は主人公の二人。いままでのミステリー小説にない何とも言えない二人の空気感をぜひ味わってみてください。

ちなみに息子(高校生)は大変面白く読んでいました。前作『本と鍵の季節』は連作短編になっていますので,長いものが苦手な中高生にもおすすめです。