何度読んでもその時々で素晴らしく思え,何通りにも読める本を良書と呼ぶなら,『バンビ』も私にとっては良書のうちの一冊になる。
まず,子どものころに小鹿だったころのバンビに出会った。たぶんディズーニーの絵本だったと思う。その時バンビは私にとって何を考えているか分からなくて時々は驚くほど馬鹿げたことをやってしまう男の子の象徴みたいな存在だった。
次に出会ったバンビは(おそらく20代のころ)女鹿ファリーネと恋に落ちてぎこちなく愛を育み,やがては冷めていく恋心にやるせなさを味わう青年だった。
その後子育てをしながら読んだ『バンビ』の中で私が自分を重ねたのはバンビの母親だった。
「いったん草原に出たら,私のことは考えないの。忘れないでね。もしも私が倒れても,かまっていてはだめ。・・・ただ走るの,走りつづけるの!」
彼女はそう言って,息子を見送る私を力づけてくれた。
きっとこの先いつか私は,人生を終え旅立つ古老(牡鹿)がバンビに語る言葉を何度も何度も読むだろう。
この物語は一生に何度も読める,本当の物語だと,私は思う。
そして,読むたびに何か大切なことをちゃんと心に残してくれる,本当に良い本だと思う。
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