司書の本棚

司書が本当にお勧めする本

『自由への手紙』自由になるために捨てるべきものと,捨ててはいけないもの

著者オードリー・タン氏は,新しい時代を生きる台湾の若き指導者。35歳でデジタル担当大臣となり,コロナ禍で数々の思い切った政策を打ち出したカリスマ。

この本では常識という非常識な思い込みから自由になる方法について語っている。性別からも自由になった彼女の独自のアプローチは多くの人にインスピレーションを与え,魂を解き放ってくれると思う。

私がとくに感化されたのは彼女のネットとの付き合い方。最初はだれでも自由に意見を言える場だと思われていたネットの世界だけど,今では行き過ぎた自由がもたらす不自由さを嫌というほど味わっている。そんなふうに感じている人にこの本はある種の示唆を与えてくれると思う。

「AIに仕事を取られるのでは?と心配になったら山に登ろう。」

という答えも,中学生にでも分かる明快な答えで,ソサエティ5.0を生きていく若い人たちにもぜひ読んでほしい一冊だった。

本当の自由を手に入れるためには,知識と美しい魂とが必要で,そのために捨てなければならないものと絶対に捨ててはいけないものがあるのだと教えてくれた。好き勝手に生きることと,自由とは違うのだから。