司書の本棚

司書が本当にお勧めする本

『ばばばあちゃんのおもちつき』理想のおばあちゃん像を追いかけて

ばばばあちゃん」に出合ったのは子育てを始めてからだった。

最初は確か『すいかのたね』だったようなきがする。

ばばばあちゃんはとにかくユニークなおばあちゃん。子どもの心を忘れないし,どんなときも楽しい!やってみたい!と思うことを大切にしている。いい子でなければいけないと思っている子どもにも読んでほしいし,いい子を育てたい親にも読んでほしい。自分の描く「いい子」が本当にいい子か?もう一度考えることになると思うから。

もし自分に孫が出来たなら,いいえ孫はいなくてもいつかはおばあちゃんになるのなら,こんなおばあちゃんになりたいと思う。

ばばばあちゃんは,ずっと憧れてやまない『長くつ下のピッピ』の作者アストリッド・リンドグレーンが日本にいたなら,きっとこんな感じと思わせてくれるおばあちゃんだ。

大人になっても無邪気でいることは,努力しななければ手に入らない美徳の一つだと私は思う。そしてユーモアをもったまま年老いることが出来る人は残念ながら日本には少ない気だがする。私の周りにはその貴重な存在が3人ほどいて,それは曾祖母とその姉妹だけど,本当にすばらしいおばあちゃんたちだった。ばばばあちゃんは彼女たちを思い出させてもくれる。

さて,『ばばばあちゃんのおもちつき』ですが,これはシリーズの中でもクッキング系のお話の一つで,「寒い,寒い」と言ってばかりの子どもたちを誘ってばばばあちゃんがおもちつきをするお話だ。「え,そんなもの!!!」というようなものもおもちの中に入れてしまうし,おもちだって家で子どもだけでも簡単にできる方法でつくので,本を閉じたらすぐにやりたくてうずうずするはず。クッキング系にはほかにも「やきいも」「よもぎだんご」「アイスクリーム」「おこのみやき」などがあり,どれも楽しい。

外出自粛のいまこそ,ばばばあちゃんの出番。家の中でも楽しめることはきっとたくさんあるはずだから。