司書の本棚

司書が本当にお勧めする本

『サンタクロースっているんでしょうか?』という質問に対する,正しい答え

「サンタクロースって,本当にいるのかな?」

私は一体いつ頃,こんなふうに思っただろうか?

この本の質問者は8歳の女の子。アメリカに住んでいる,利発な少女だ。1897年のある日,彼女は「サンタクロースなんていない」と友だちに言われ,父親に事の真相をたずねる。すると,お父さんは「新聞社なら嘘は言わないし,きっと返事をくれるから,きいてごらん。」と答える。その時返事をしたニューヨーク・サン新聞の社説を本にしたものが,この「サンタクロースっているのでしょうか?」という本。きっとそれから何度も何度も,それこそクリスマスのたびにこの記事は読まれたことだろう。それくらいに,この本の答えは明快で分かりやすい。もちろん子どもたちの信頼を得るに足る答えなのだ。

今年も私はこのお話を子どもたちに読もうと思う。下手なウソなどつく必要はない。サンタクロースは架空の人物ではなく,信じさえすれば誰のもとにもやってくる実在の人物なのだし,大人の私だって,そのことは納得するしかないのだから。

最初のうち「うちのサンタは偽物だ」とか,「正体を知っている」とか大声で騒いでいた訳知り顔の子どもたちほど,本を閉じるころには静かにうなずいてしまう,この本はそういう本だ。