司書の本棚

司書が本当にお勧めする本

『エリザベスは本の虫』本の虫という生き方を貫いた女性の物語

本の虫という言葉が英語にもあると知ったのは大学生の頃でした。

book worm と呼ばれる本の虫が世界中に存在すると知った時の安堵感は計り知れないものだった。勉強するはずだった時間に本を開いてしまい,つい最後まで寝る間を惜しんで読んだことが何度あったか・・・。(おかげで国語の成績だけは良かった)ただ寝そべって本を読んでいるとき,外で仕事をして帰ってきた家族がぱっと扉を開けたときの気まずさを何度味わったか・・・。

本しか読んでいなかった自分が感じていた,なにか悪いことをしていたときのような気持を吹き飛ばしたのが「bookworm」という言葉だった。その言葉があったおかげで,私は本の虫として存在してもいいのだと思えたから。

そして,その何十年か後に,絵本『エリザベスは本の虫』に出会った。ついに「本の虫」は絵本になるほど有名になったのだ。

エリザベスは「ごっこ遊びもスケートも嫌い。生まれてすぐに字を覚え,あっという間に本の虫」になったという実在の女性。とにかく一生をかけて読んで読んで読みまくり,膨大な量になった本を最後は図書館に寄付し一生をを終える。何者にもならず,ただただ「本の虫」として正しくまっすぐに生きたエリザベスは,私の心にずっと住むことになる女性だ。

本当につらいことがあったとき,誰とも分かち合えない孤独の底で,私は何度もこの本を開くだろう。そして,そのたびに救われた気持ちで本を閉じる自分が約束された,この本は私にとってのバイブルといえる。

 

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